1997年の作品「祝福」

初画集「Chie画集~癒しのアート~」(東洋経済新報社)に

収められています。




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この絵は個展直前に

お嫁入り先が決定した中での展示でした。

それはとても異例のことです。




今回は20周年記念の個展だったので

通常の個展とは違い

ChieArtの軌跡をお見せするために

大昔の作品を展示することになっていました。



アトリエでいつものように出展作品を選んでいると、

あるひとつの作品が誰よりも早く手を挙げたんです。



「私、行くところがあるの」



はっきりと作品がそう言っているようでした。




前にもお伝えしていますが

作品セレクトは

私と作品の共同作業です。

私が選んでいる、というよりも

作品の意思をくみ取ることが

私の役目のような気がしています。



だからこの時に、

作品が自分の意思で

誰かの元へ行こうとしていることだけは感じていました。



大昔の作品は、現在のものよりも

より大切に保管しておきたい気持ちがあります。

できればどの子もお嫁入りはさせたくない!

それが正直な気持ちです。



でも、旅支度を整えようとしているのがわかるだけに

(そうか…行ってしまうのね…)

ようやく手放す決心を持ったのです。



作品にプライスをつけてしまったら

すぐにお嫁入り先が決まってしまうだろうな…。

そう思った時

大昔の約束がクリアに蘇ってきました。


「この絵だけは誰にも譲らないで欲しい。どうしてもいつか私のところに来て欲しいの」

「うん。わかった」


それは遠い遠い、はるか大昔の約束でした。




その人がその言葉を覚えているかどうかはわからない。

連絡先もわからない。

でも出展するなら、一言だけ伝えておきたい。

「旅立ちたがっているから出すね…」と。



そんななか、ひょんな流れで

ChieArtオフィシャルFBを

フォローしてくれていたことを知りました。



彼女は今年になって

どうしても作品「祝福」が欲しい!と

強く思っていたそうなのです。

そしてどうやったら絵を購入できるのか

相談したいと思い、

コンタクトを試みてくれていたのです!




まさに相思相愛だったのですね!!




「祝福」の絵が、20年前と現在を

点と点で繋いでくれた気がします。




長い年月を経てのお嫁入りは、感無量です。


きっと彼女の力になるに違いないと感じています。





そしてもう1つのストーリー。


今回、本当は展示する予定がなかった

新作「New Earth」。



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この作品もはっきりと意思を持っている子です。



「New Earth」という内容がとてもいいので

カレンダーの表紙にしようと試みたものの

色が全然出ないっ

ポストカードにしようとしてもうまくできない

版画はどうかとトライしたものの

やはり思うようにできず…

原画以外でお見せする気が、どうもないようで(笑)


結局、あの会場にいた人だけが

この光にふれることが出来たのですね。




搬入日、額屋さんからの納品のなかに

この作品は入っていました。

けれどもそれは今年の展示用ではなくて

来年の展示用としてお願いしていたものでした。



今回はめいっぱい作品を選んだし

第一、展示をするスペースもないし。



ところが図面通りに展示していくと

あれ…スペースが余る!

まるまる2作品くらい展示できるスペースがある!

どうして…?

どうしよう…。




そこで急遽

展示予定ではなかったけれど

たまたまその場にあった2作品を

試しに飾ることにしたのです。



それは偶然か必然か

「神さまの糸」なのか…

ちょうど会場にあったのが

20年前と今年の絵の2作品!!


お膳立てされていたかのように

時間軸が結ばれた瞬間でした。




20年前と今の光。

手と手を繋いで

この場を照らしていました。




展示

写真左 1997年作品「慈光」

写真右 2017年作品「New Earth」





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あの会場にはそんな小さなエピソードが

小花のようにそっと咲いていたのです。






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